柔道指導・柔道大会(トルコ・アンカラ)の報告です。

2018年11月17日

2018年10月22日~30日の期間、光本健次国際担当師範、UAEから原口直也氏(UAE柔道連盟ジュニア・カデットコーチ)、モウ・サレー・アルモウ氏(フジャイラ・マーシャルアーツ・クラブ)、学生ボランティアとして小橋川元輝さんをトルコ・アンカラに派遣しました。

原口直也氏からの報告です。

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トルコ・アンカラ柔道指導

日時;2018年10月23~26日
場所;アンカラ・トルコ
内容:光本健次先生柔道教室Inアンカラ

*トルコ柔道連盟について*

【柔道人口】
トルコの柔道人口は大変多く、アンダーカデ(14歳以下)が男子約10万人、女子約8万人いるそうです。トルコのこの年齢層の全国大会は、年に2回ほど行われます。夏の大会では、各地方から約1500人の代表選手が集まり、白熱した試合を行いました。
殆どの大会は4日間行われ、1日目はドロー(トーナメント決め)、体重測定、道着コントロールなどを本格的に行い、2日目から試合が始まるとのことでした。これだけの規模で行う柔道大会は大変珍しく、日本でもあまり行われていないのではないでしょうか。今回の在トルコ日本大使杯は、200人弱の参加ということでしたので、人数が少なかった理由を聞きました。1日では1500人の大会はできないということで、かなり制限し、200人で募集を行ったそうです。

【柔道連盟の活動】
トルコ柔道連盟の活動は、主に学校で行う柔道授業、各地方のクラブへの支援とお聞きしました。特に今回のようにシリア難民の柔道支援に力を入れている様で、国のスポーツ省かたも柔道連盟の支援活動に対し力強いサポートがあるそうです。トルコ全体が柔道に対して力を入れていることが分かりました。
トルコの柔道コーチは多くが柔道連盟に所属しており、柔道専門の指導者として働いています。トルコで柔道指導者となるには国家試験を受ける必要があるとのことでした。指導者にも5段階のレベルがあり、レベル毎に研修・試験を受ける必要があるそうです。 
日本の柔道クラブでさえ、柔道の指導者のみを職業にしている人は珍しいと思います。もちろんそういった指導者もたくさんおりますが、柔道以外に職を持っていたり、学校の先生であったりします。しかし、トルコは柔道指導者が職業として成り立っておりました。トルコでは柔道指導者の需要があるのではないでしょうか。今年(2018年)の年末には、トルコ柔道連盟に所属する指導者、約500を集め、コーチング研修を2週間ほど実施するそうです。コーチ陣の宿泊代や交通費などの費用は柔道連盟が負担すると聞きました。トルコでは国技のレスリングに続き、サッカーと柔道が三大スポーツとなっています。トルコで柔道の需要がこれほど多いとは全く知りませんでした。

*指導を終えて*
 今回、NPO法人柔道教育ソリダリティーからお声掛けをいただき、トルコのアンカラに指導支援に赴きました。今回の柔道教室は、在トルコ日本大使館、トルコ柔道連盟、NPO法人柔道教育ソリダリティーが協力し、シリア難民の為に実施されました。
一緒に指導したシリア出身のモウ先生に話を聞くと、参加者のシリア難民の子ども達は、何百キロという長い道のりを一歩一歩逃げてきたそうです。明日があるか分からない戦争から逃げた今も、シリア側から難民キャンプへの攻撃を毎日怯えながら生きているとモウ先生は言っていました。さきほどまで、あんなに楽しそうに柔道をしていた子ども達が、生死の境目で生きていること。良い笑顔で、楽しそうに柔道をしていると思っていた子供たちが、シリア難民の子ども達とは想像も出来ませんでした。
日本大使館の宮島大使との会食で、貴重なお話をお聞きしました。戦争を知らない子は、想像で戦争の絵を描くので黒を中心に使い真っ黒い絵を描く。しかし、戦争を経験した子供たちは白い紙に、まず花を一本描くそうです。その花の周りに人を描き、その人たちは涙を流しているとのことでした。同じ戦争の絵でも、想像で描く戦争と、希望を描く戦争では全く違うものになります。
私は子供たちの笑顔を見て、少しでも希望を与えることができたのかと嬉しい気持ち半分、もっと何か出来たのではという悔しさ半分、複雑な気持ちになりました。柔道を通して、子ども達に笑顔になってほしいと純粋に感じた柔道指導となりました。
私自身も深く考えさせられ、成長できた柔道指導だったと感じております。特に、子ども達には逆に大切なことを教えてもらいました。柔道をしてきた中で、一番良い笑顔を見ることが出来ました。あの笑顔は、今後忘れることは無いでしょう。
最後に、支援して下さいました方々に深く感謝いたします。これからも、できる限り柔道を通して多くの人に笑顔を届けるよう努力します。今後とも何卒宜しくお願い致します。

UAE柔道連盟
原口 直也