日中友好青島柔道館開設までの道のり

2008年01月23日 (水曜日)

日中友好青島柔道館開設までの3年間を光本惠子事務局長が「近代柔道」に寄稿しました。

---------------日中友好青島柔道館開設までの道のり------------------

事務局長  光 本 恵 子

 去る2007年11月25日に中国・青島市第二体育場に「日中友好青島柔道館」が開館しました。柔道を通して日本の心を伝え、様々な国との文化交流を推進するNPO法人柔道教育ソリダリティーにとって、中国との新たな柔道交流事業に関わることができたこと、そして微力ながらお手伝いができたことを心より喜んでおります。またこの度は『近代柔道』から経緯を述べる機会を与えて頂き感謝申し上げます。拙文ですが、ご一読賜れば幸いです。

 ご存知のように、日本と中国の関係は、近年、経済面では活発ですが、政治面で冷え込んでいると言われております。スポーツや学術面での交流は、それなりに盛んですが、サッカー大会での日本チームへのブーイングに見られるとおり、時折残念な状況が発生しています。ともあれ中国は、いま、北京五輪を目前にして各競技種目の競技力向上に精力を注ぎ込んでいるように見受けられます。

 ところで、3年前の2005年6月頃でした。国際柔道連盟の教育普及理事として柔道の国際的普及と振興を担当していた本法人の山下泰裕理事長に、外務省から一つの質問が寄せられました。近くてまさに遠い国になりつつあった中国と、「柔道を通した交流ができないか?」というものです。山下は、この提案を真摯に受け止め、「柔道の活動を通して日本の心を伝え、友好関係が築けたら」と考えました。そして、お互いにアイデアを出し、話し合いました。その中で、1000万円程度の経費で学校が建設できることを知り、そこに着眼したのです。外務省には草の根無償支援という制度があったのです。
「中国に柔道場を建設したらどうだろうか。」
 このアイデアは、市民レベルの交流を視野に入れた長期的なもので、北京五輪後の中国のスポーツ振興のモデルにもなるものです。柔道場は、柔道やスポーツ活動のみならずセミナーや書道、生け花など、広く文化交流の場としても活用が可能です。山下は、文化交流センターの機能を持つ道場の建設に向けて、日中間の橋渡しをする役割を担いました。
 次の課題は、「それでは広大な中国のどこに建設するのか?」ということでしたが、この件については、すぐに候補地が挙げられました。その都市は、女子柔道が盛んで、国際大会開催の実績もある青島市です。山下は、世界トップの競技力を誇る中国女子柔道を育てた指導者である徐殿平先生(青島市柔道協会理事長)から、「約30年前、畳がないので砂浜で柔道の練習を始めた」という話を聞いていました。柔道協会の部屋には、嘉納治五郎師範の写真と『精力善用・自他共栄』の言葉が掲げられています。“砂浜から世界へ!”が青島柔道のスローガンです。この話に感銘を受けたのです。

 【砂浜から柔道を始めた徐殿平先(青島の海岸で)】

 2005年11月、青島市を訪れた山下は、青島体育局、及び柔道協会の役員と具体的に協議し、賛同を得て、実現に向けてイニシアティブを発揮しました。

 【2005年11月山下理事長と光本事務局長が中国・青島の青島市体育協会を視察しました】

 【青島の日本人学校にて】

 【青島市長・体育長と山下理事長】

 そして、2006年11月、日本外務省と青島市の間で草の根無償支援の調印が行われ、柔道場建設は具体化しました。この年の4月、実は、山下を中心に私たちは、特定非営利活動(NPO)法人柔道教育ソリダリティーを立ち上げました。目的は、①柔道の国際的普及 ②柔道を通した文化交流・異文化理解 ③柔道による青少年育成などです。お分かりのように、日中友好青島柔道館建設は本法人の目的に沿う活動でもありました。それから準備に1年間を要した次第です。

 【2006年11月日中友好青島柔道館の調印式】

 さて、柔道場は開設しましたが、活動はこれからです。したがって本法人の支援もこれからが正念場です。当初のねらいどおり、交流を重ねながら相互理解を深め、信頼を培って、両国の友好関係を培うことに寄与していきたいと思います。経済や政治などの複雑な交渉、駆け引きはよく分かりませんが、私たちは人と人との交流という視点から友情を深めることに微力を尽くすつもりです。

 【2007年11月に開館した青島柔道館には、日中の国旗が掲げられています】

 【柔道館開館時に配布されたパンフレット(表紙)】

 大変うれしいことに、青島市柔道連盟と青島市体育局は、私たちに大変協力的で、また、道場運営の方法を日本に学びたいという意向を持っています。そこで、運営を担う人材の育成について、私たちが支援することになりました。現在、青島から女子柔道の選手でもあった王華(ワン・ファ)さんが来日し、東海大学で日本語の勉強、柔道の教授法や道場クラブ運営などを勉強しています。彼女は、以前に国際武道大学で学んでいました。
 このように、本法人は、ささやかですが主に人づくりへのお手伝いを通して中国柔道の発展を支援することを目指しています。青島には日本人会もありますので、皆さんのお力をお借りして、『日中の心の交流』を推進できればと願っています。日本と青島に「柔道の心の橋」を架けること…これが私たちの夢です。道場運営が波に乗れば、山下理事長は、青島をモデルに、第2、第3の道場建設を考えています。周囲の希望、期待も大きいようです。

 末筆ながら、日中友好青島柔道館開設にあたり力強いご支援、ご助言を賜りました日本国外務省、青島市体育局、青島市柔道協会、そして本法人の会員の皆様に心から御礼申し上げます。

コメント

ケブカシビリ様、
メッセージありがとうございます。
ジョンレノンの♪イマジン♪をもう一度聞いてみます。
これからもよろしくお願いいたします。

小泉広治様、
いつも暖かいコメントをいただき心から御礼申し上げます。
これからも事務局一同、一歩一歩前進していきたいと思います。
応援してください!

ジョンレノンはイマジンのその中で、国境が存在しないこと、宗教が存在しないこと想像してごらん、と歌っている。しかし、想像は出来ても今のところそれは不可能であろう。(いつか突然訪れるかもしれないが)
また、過去は過去と割り切ることも不可能だろう。
それらを全て踏まえて、友情、平和を築いていくにはどうしたらよいだろうか?
NPOの中国での活動がその答えの一つではないだろうか。
「柔道、友情、平和」NPOが掲げているのはあまりにも遠い道なのだろうか?しかし、一歩一歩前進していることは間違いない。プログレス!
それはイマジンではない。

過去から暗い影を引き摺りながら、双方が素直に向き合う事が出来なかった日本と中国の複雑な歴史関係に一光の明るさが見えた様に感じました。
本当にご苦労様です、これからも大変だと思いますが、この一歩は日本と中国の今世紀の歴史に残る快挙だと思います。
山下理事長も光本ご夫妻もそして関係された方々も大変ご苦労様です、とても良いお仕事をされていると思います、これからも民族や宗教を越え、そして国境無き平和柔道を世界に、・・・・頑張って下さい。