「第1回中国便り」が届きました

2007年10月01日 (月曜日)

 8月から中国男子柔道ナショナルチームの強化にあたっている東海大学体育学部光本健次教授より、中国男子柔道チームの報告が入りました。

◆◇中国便り◇◆ ------第1回------

2007年10月1日
東海大学体育学部教授 光本 健次
 
 NPO法人柔道教育ソリダリティー会員の皆様、お元気のここと推察いたします。すでに会報でご存知のように、2005年からNPO法人柔道教育ソリダリティーが受け入れ母体となり、支援してまいりました中国チームですが、昨年1年間のうち約5ヶ月間を東海大学での練習に費やし、今年も同じような受け入れ態勢で合宿を実施していました。

 しかし、日本での練習だけではなかなか成果が上がらず、強化も難しい状況でした。先般より山下泰裕先生からご依頼を受け、チームが日本で合宿する際、指導のお手伝いをさせていただいた経緯もあり、2008年北京オリンピックで悲願のメダル獲得を目指す中国男子柔道コーチを引き受け、現地入りして早いもので1ヶ月の歳月が過ぎました。

【中国男子柔道チームが練習を行っている「国家体育総局、柔道訓練基地」】

【大きく立派な道場で練習は行われています】

 中国入りした当初は、気候も日本より暑さが厳しく、水分の補給をしながら練習をする日々が続いていましたが、その暑さも今ではすっかり影を潜め、朝夕はだいぶ涼しく、寒さを感じる季節になりました。中国男子柔道チームの合宿施設及び道場は、中国の中心である天安門広場から南に50Km離れた北京空港に近いShunyi区という町に位置し、合宿所は「国家体育総局、柔道訓練基地」と呼ばれ、道場も東海大学の道場より150畳ほど広い、恵まれた環境で若干の選手の入れ変わりはあるものの、国内から選抜された60名ほどの選手たちが常時練習で汗を流しています。

【練習後の食事の様子】

 現地指導開始から2週間後、ブラジル(リオデジャネイロ)で開催されました世界選手権大会及びイギリスのブリティッシュオープンにチームを率い、出場してまいりました。リオデジャネイロには来年のオリンピック柔道競技開催に伴い、視察も兼ねて役員も多く参加していたようです。チームの練習は日本と現地では見ていたものの、コーチとして彼らの試合を観戦するのは初めてのことでした。

 もちろん、練習と試合は大きく異なることは想像できましたが、選手たちがどのような試合を展開するのか、今後の指導上、大変興味関心がありました。世界選手権では、無差別級・+100Kg級・-100Kg級・-90Kg級の重量階級では入賞はできませんでしたが、手ごたえを感じる成果は十分見られたと思っています。しかし、日本男子柔道も惨敗したように、欧米選手に比べると全体的に力及び5分間の試合の集中力に欠ける点も多く、今後の課題が明確になったような気がしています。この重量階級の中でもとりわけ中国で期待されているのが、+100Kg級の(WEI Xiangjun)選手で、身長2m17cm,体重160kgと身体的にも恵まれ、イギリスのブリティッシュオープンでも3位と検討し、今後の練習しだいでは北京オリンピックでメダルの期待が持てる選手として期待しています。また-100Kg級・-90Kg級の両選手もイギリスではメダルは逃したものの5位に入賞し、手ごたえを強く感じ、今後に期待を持っています。
その他の軽いクラス(-81Kg級・-73Kg級・-66Kg級・-60Kg級)は、欧米のパワー柔道に歯が立たず、多くの課題が残った結果でした。

 さて、2008年地元開催の中国オリンピックに向かい、今中国では町のあちらこちらの電光掲示板に、来年のオリンピックまでのカウントダウンが掲示され、町にも活気があふれています。道場にも中国国旗とオリンピック旗が掲げられ、中国選手はどこの国の選手よりも、今オリンピックを身近に感じているのではないでしょうか。

【中国男子柔道チームと中国チームのユニフォームを来た光本教授(ブラジル・リオデジャネイロ世界選手権にて)】 

 私自身も、日本から持参した日の丸の柔道衣を脱ぎ捨て、チームから支給された中国国旗の入った柔道衣を見につけ、オリンピックをこんなに身近に感じているのは人生始まって以来のことです。異文化での柔道指導は初めてではありませんが、言葉(中国語)の壁が指導上大きな負担です。しかし、この負担を解消してくれているのが、同じくNPO法人柔道教育ソリダリティ-が受け入れをしています王華(WANG Hua)さんと言う、将来青島市で少年柔道指導者を夢見ている女性です。王華さんは、日本で少年柔道指導者になるための勉強をしていましたが、急遽、私の現地入りで通訳として同行してもらいました。彼女の協力無くして選手との意思の疎通はかなわないので、心から彼女には感謝している毎日です。この2人の二人三脚で日本と中国の友好を深め、地元開催のオリンピックにおいて、今まで以上の成果が上がることを夢見て頑張りたいと思っています。

 季節の変わり目です、皆様もお体に気をつけてお過ごしください。
 中国より近況まで。

コメント

トピックの配信、いつもありがとうございます。
リオデジャネイロにおける中国選手、とくに100kg超級をはじめ重量級選手の活躍には目を見張りました。東海大学における長期合宿と、現地での光本先生のご指導の成果が発揮されたものと思います。世界選手権は、初日だけでしたが私も現地で観戦し、中国選手の躍進振りを目の当たりにして大変うれしく思いました。
私は、中国チームのヘッドコーチの石明先生とは旧知の間柄であり、また現地でご苦労されている光本先生に是非、激励の手紙を送りたいと思いますので、あて先を教えていただけると有難いです。
どうぞ、よろしくお願いします。
春日(立命館大学柔道部監督)