青島海洋大学日本語学科の生徒さんより山下の講演の感想文が届きました。
2006年12月28日 (木曜日)

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(山下泰裕先生の講演を聞いて)
人間教育
中国海洋大学 日本語科
4年 胡 小萌(女)
日本柔道界の第一人者が青島で講演する予定があるということを聞いて、なんとなく、わくわくしていた。高校時代に3年間、韓国の国技・跆拳道(テコンドー)を学んだことを思い出した。そのとき、家庭不和のせいで、心理教育を疎かにされたが、跆拳道のおかげで私の健全なる人生観が形成されたといえる。
その先生は、わが師と仰ぐ人の中で、もっとも私を感激させ、もっとも私を励ましてくれたひとりだ。練習する前に、私たちは、きちっと畳に膝をついて座らされ、目を閉じて精神を集中して先生の話を聞いた。「自分の生まれたことを考えてください。親からもらった愛と恩情を肝に銘じて、この万物を養育する世界に感謝してください。」などのような話を聞かせて、人生の師として、武芸だけでなく、人間精神も教えてくれた。
成都から離れて青島に来てもう3年たったが、講演会のあったその日、ホールに座って山下泰裕先生の話を聞いていたら、自然に涙ぐんで、心の中の純粋な青春とか勇気とかが、再び燃え上がってきた。
山下先生がもっとも尊敬している嘉納治五郎は1882年に東京文京区に道場を開き、講道館を創立した。それが柔道の始まりである。これが講道館柔道であり、新しい柔術としての柔道が誕生し、急速に発展した。嘉納はそれまでの柔術の各流派の優れたところを集め、逆に危険なところを除いて新しい工夫と研究を加えて、まったく新しい柔道を創設したのである。「体が小さく、学校で体の大きな者によくいじめられたので、柔術を習って何とか強くなりたいと思った」のがきっかけだったと伝えられている。
山下先生の言ったとおり、柔道の精神は、「精力善用、自他共栄」である。「内に礼を」の精神を深め、「外に礼法」を正しく守ることが要求されている。礼は、人と接するときに相手の人格を尊重し、敬意を表することから始まる。礼法は、社会での人間関係を整え、社会秩序を保つ精神を表す作法をいう。
「戦っても相手は敵ではない。柔道は人生を生かす、人間的成長を教える運動だ。」と山下先生は言った。世界の柔道の発展のために、山下先生はさまざまな努力をした。たとえば、審判や観客が選手を識別しやすいように、国際柔道連盟が1997年の総会で、「試合では、一方が白色、他方が青色の柔道衣を使用する」と決定した。柔道が日本独特の武道であり、「白い柔道衣」が柔道の象徴であっただけに、日本の柔道関係者の間に抵抗感が少なくなかった。しかし時代の趨勢と、ファン層を広げるのにも役立つという思いから、「世界の柔道の発展にプラスになることなら、それに協力していくのが柔道を始めた国としての役割ではないか」と、山下先生は何度も繰り返し主張されたそうだ。その結果、日本も「カラー柔道衣」を受け入れた。そのほかに柔道は外交事務に参加して、山下先生は、平和大使のような役割を担っていた。そして外務省中東対話ミッションメンバーとしてイラクへ行って、自衛隊の兵士に柔道を教えたこともある。
一番感動させられたことは、やはり中国北京2008年オリンピックを支援することである。2006年1月から4月にかけて、わが国の男子柔道隊が4回日本に行って交流した。その費用の3分の2は、山下先生が理事長の特定非営利活動法人・柔道教育ソリダリティーが提供してくれたそうだ。今回も青島に講道館を作るために来たそうだ。国内の反対意見に見向きもせず、「柔道、友情、平和」というテーマを持って、山下先生は世界的な柔道を発展させるために、そして、人間教育を世界中で広めるために、努力し続けている。
柔道の世界的な発展は、文化侵入といわれたこともあったが、私は決してそんなことはないと信じている。逆に、今の中国の青少年に対する教育事務が本当に、柔道の人間教育の精神を学び、それをわが国に導入する必要があると思う。
以 上
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自分を超えると、成功である
中国海洋大学 日本語科
4年 于 埼(女)
堂々たる、自信満々の山下さんから、柔道の魅力をしみじみ感じ取れた。柔道というと、勇気、強さと技術が非常に大切だと思われる。この三種の神器を身につけると成功である。しかし、山下さんの講演を聞いたあと、この考え方がすっかり変わった。
柔道だけでなく、すべてのスポーツ種目のチャンピオンは、一人或いは一つのチームしかないが、成功を得る人は絶対一人だとは限らない。相手に敬意を持ち、規則を守り、全力を尽くすことができたら、勝ち負けを問わず立派な成功者だといえよう。これこそスポーツの真髄、柔道の真髄である。だから、山下さんは、柔道分野の交流が、技術指導だけではなく、柔道の真髄を多くの人に知らせることに力を入れようとおっしゃった。これは異文化理解、文化交流の一環として不可欠である。
中日両国は一衣帯水の隣国であり、歴史上でも現代でもいろいろな類似点を持っている。今日、先進国の日本と発展途上国の中国の間で、経済の面では大きな差がある。この差は、両国友好往来の溝になることなく、友好関係発展の原動力となるべきである。自分の地位を維持するために、強い相手を消滅させることは愚かな考えである。相手が強ければ強いほど、向こうとの付き合いを通して、自分を強めさせることができる。相手を超えることは易しいが、自分を超えることは却って難しいことである。中日両国の国民は、理解し合い、助け合うことができたら、明るい将来がすぐ来ると思う。
以上
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柔道について
中国海洋大学 日本語科
4年 従 菲(女)
「柔道はレスリングだ。太くて、体が丈夫である人は勝ちやすい。」以前から私は、そう思っていた。柔道というとなんとなく乱暴な感じがするから、それに対する好感がいささかもない。しかし、山下先生の話を聞いて、柔道に対するイメージが変わるようになった。特に印象に残るのは、「柔道はスポーツじゃなくて哲学だ。相手に対して尊敬の意が大事……。」という話である。戦う両者は相手に対して持つべきものは敵意だろう。なぜ敵意ではないのであろうか。ちょっと不思議な感じがあったのも確かだが、山下先生が、柔道の精神を説明してくれるにつれて、だんだん納得できるようになった。
しかし、今の柔道選手の中に、何人がほんとうに相手に敬意を持って戦っているかは疑わしい。日本選手の実態がよくわからないが、中国の選手は、試合に出るとき、ものすごく殺気立っている人もいる。なぜかというと、それは利益以外の何物でもないからだ。中国の選手は、オリンピック大会で金メダルを取ったら、お金が湧き出るようにくる。逆に銀メダルを取ると何ももらえない羽目になる。実際、「金メダル選手」と「銀メダル選手」は、技術的にはほとんど同じくらいのレベルだと思う。お金のせいで、試合の単純さを複雑化している。もし、日本の柔道選手が誰でも柔道の本当の精神から修行すれば、歪んだスポーツ賞罰体制の下にいる中国選手は、明るい未来を見る日がないだろう。心配している。
以上
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自分の価値はどこにあるか
中国海洋大学 日本語科
4年 呉 燕(女)
山下先生は日本では勿論、ロシア、イラク、中国でも偉い人だと見られている。先生は自分の今までの生涯を3段階に分けていて、1段階は柔道選手、2段階は柔道監督、3段階は世界の数カ国との交流、柔道活動をすることだ。先生は、1、2段階では、多くは自分の柔道事業、国の柔道発展に取り組んでいた。そのときの先生の価値は、ただ柔道においての価値だと考え、3段階に入った後、先生の価値がそこにあったのだ、と思う。
柔道でロシアのプーチン大統領と結ばれた。柔道でイラクのスポーツを応援した。また、柔道で中日関係のために、中国男子柔道を指導してくれた。そのときの柔道は、ただのスポーツではない。世界の人と人との交流、国と国との交流にも役に立った。深く印象に残ったのは、2005年の中日関係が一番悪いとき、中国柔道界が山下先生に中国柔道への指導を要請したとき、その非常のときにも山下先生は承知してくれたとのことだ。そのほかトヨタやローソンの大企業も支援してくれたそうだ。政治はどうでもいい、民間の人々の友好が続いていれば。そのときの柔道は、中日友好の架け橋になったのだ。もちろん山下先生がその橋を中国と日本の間に架けたのだ。それは先生の生甲斐だと思う。柔道を広めるとともに、世界の人々の友情のために、平和のために役立った。
自分のことを考えてみると、自分の価値はどこにあるのか。たぶん私たちは、山下先生のようなえらい人間になるのは無理かもしれないが、生きている限り、きっとどこかで役に立つだろう。生甲斐をつかめば人生は有意義になる。その過程は長いかもしれないが、みんなが一生懸命努力したら、いつか必ず見つけることができるだろう。
以 上
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山下先生のお話の感想
中国海洋大学 日本語科
4年 馬 恵(女)
今週の木曜日に山下泰裕先生の講演に参加した。先生の講演を聞いて万感胸に迫った。
講演の内容は、ほとんど柔道をめぐって展開されたが、いろいろなことが含まれていた。
日本は柔道が強いから、世界中の国からつぶされそうになることを知った山下先生は、日本に対する信頼を呼び戻そうと腹を決める。その後、先生は、柔道への情熱と日本への愛を持って、まさしく柔道を復活させるために、自分なりに力を尽くしている。ちょっと余計なことをするのではないかという人がいるかもしれないが、私はとても感心した。
日本に対する信頼を取り戻すのは、先生自身の「義務」だと思う。この考えは私たちにとっては必ずしも新鮮とはいえないが、実践出来る人は稀である。でも、山下先生は本当に、その義務を担って今まで努力している。これは日本人のまじめさの反映だといえよう。それから、先生の話を聞いて、柔道で一番大切なのは相手への敬意、尊敬だとわかった。本当にいい勉強になった。先生は、二言三言で柔道の真髄を説明してくれた。
「お辞儀するのは謝るのではなく、相手に敬意を払うのだ」とか、「相手は敵ではない。相手がいるから、自分の腕を磨き続ける」とか。簡潔ながらも、柔道に限らず、スポーツの精神を語ってくれた。これこそ真のスポーツマンといえると思う。
また、山下先生は自腹でDVDを作り、日本だけでなく世界に発売し、柔道教育に力を入れようと努力している。それに他国の柔道チームを指導したり、今回のように講演したりして、柔道の心などを全世界に伝えていることは、異文化交流の一環である。中日外交上では摩擦があるにもかかわらず、国民の大好きなスポーツを通して相互理解を達成し、加えて両国の友好関係を促進する。山下先生は、中日友好のために一生懸命努力している。私たちも努力しなければならない。両国は歴史上の問題がたくさん残っているが、お互いに努力すれば必ず仲良くなれると信じている。
山下先生はその日、風邪で体調が悪かったが、かすれた声で力いっぱい講演してくれて、本当に感動した。私もこれから自分なりに、中日友好のために頑張らなればならない。
山下先生は、「柔道、友情、平和」を志して努力するとおっしゃったが、私も、「学問、友情、平和」を志して精一杯努力することに決めた。
以上